ラグジュアリーブランドの世界で、今最もその動向が注目されるデザイナーの一人がキム・ジョーンズ(Kim Jones)です。
Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)で巻き起こしたSupreme(シュプリーム)との歴史的なコラボレーションや、DIOR(ディオール)における現代アートとの融合など、彼が手がけるプロジェクトは常に世界中のファッショニスタを熱狂させてきました。
しかし、なぜ彼がこれほどまでに多くの成功を収め、名だたるメゾンから信頼を寄せられているのか、その理由を知る人は多くありません。
この記事では、メゾン業界へのキャリアアップを目指すアパレル販売員の方々に向けて、キム・ジョーンズ(Kim Jones)の軌跡とその成功戦略を徹底的に解き明かします。
彼の仕事術や考え方を学ぶことは、単なる知識の習得に留まらず、ご自身の接客スキルやキャリア形成における大きなヒントになるはずです。
目次
キム・ジョーンズがトップに立つまでの道のり

キム・ジョーンズ(Kim Jones)の経歴は、既存のラグジュアリーの枠に収まらない、多様なカルチャーをつなぎ合わせてきた歴史でもあります。
ロンドンの名門校での伝説的なデビューから、世界的なメゾンの舵取りを任されるようになるまでの歩みは、常に革新の連続でした。
彼がどのような経験を経て現在の地位を築いたのか、その主な軌跡を表でみてみましょう。
| 年代 | 主な出来事・経歴 |
|---|---|
| 1973年 | イギリスのロンドンで誕生。 父親の仕事の関係で、生後数ヶ月から世界各国を転々とする。 |
| 1990年代 | イギリスで多感な時期を過ごす。 スケートカルチャーや雑誌『i-D』などに強く影響を受ける。 |
| 2002年 | セントラル・セント・マーチンズの修士課程を卒業。 ジョン・ガリアーノは卒業コレクションの約半分を買い取る。 |
| 2003年 | 自身の名前を冠したブランド「KIM JONES」を設立。 |
| 2004年 | スポーツブランドのUMBRO(アンブロ)との長期的な提携・コラボレーションを開始。 |
| 2008年 | Dunhill(ダンヒル)のクリエイティブ・ディレクターに就任。 ブランドをモダンに再生。 自社ブランドを休止した。 |
| 2011年 | Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)のメンズ・アーティスティック・ディレクターに就任。 |
| 2017年 | Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)× Supreme(シュプリーム)のコラボレーションを発表。 世界的な社会現象を巻き起こす。 |
| 2018年 | DIOR(ディオール)のメンズ・アーティスティック・ディレクターに就任。 |
| 2020年 | FENDI(フェンディ)のウィメンズ・アーティスティック・ディレクターを兼任。 |
| 2024年10月11日 | FENDI(フェンディ)退任発表。 |
| 2025年1月 | DIOR(ディオール)のディレクターを退任。 |
| 2025年10月 | 中国発のアウターブランドBosideng(ボシデン)の新ライン「Areal(エリアル)」のディレクターに就任。 |
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Dunhill(ダンヒル)で証明していた老舗ブランドを蘇らせる手腕

2008年にイギリスの老舗ブランド、Dunhill(ダンヒル)のクリエイティブ・ディレクターに就任したことは、彼にとって大きな転換点となりました。
歴史あるメゾンをいかにして現代のマーケットに適合させるかという課題に対し、彼は独自の感性で答えを出しました。
伝統あるイギリスの紳士服を現代の若者が着たい服へと変えた功績
重厚な歴史を持つDunhill(ダンヒル)を、いかにして次世代へ繋げるかという難題に彼は挑みました。
ブランドの品格を保ちながら、若年層の心に響く新しい価値観を提示した軌跡を振り返ってみましょう。
就任当時のDunhill(ダンヒル)は、品質の高さは誰もが認めるものの、どうしても「父親世代のブランド」という落ち着いたイメージが先行していました。
クラシックなスーツスタイルが中心で、感度の高い若者たちからは少し距離を置かれていたのです。
キム・ジョーンズ(Kim Jones)は、その100年以上の歴史に敬意を払いつつ、シルエットを大胆にアップデートしました。
| 以前のイメージ | キム・ジョーンズによる改革 | |
|---|---|---|
| ターゲット | 「お父さん世代」のブランド | 感度の高い若年層 |
| スタイル | クラシックなスーツ中心 | 伝統的な仕立て + 軽やか・スポーティー |
| 雰囲気 | 落ち着いていて少し距離がある | ブランドの品格を守りつつ、モダンで身近 |
これにより、ブランドのアイデンティティを損なうことなく、モダンな雰囲気を持つウェアへと生まれ変わらせたのです。
2006年に続き、2009年にも英国ファッション協議会の「メンズウェア・デザイナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した事実は、彼の改革がいかに高く評価されたかを物語っています。
自分のルーツであるアフリカやロンドンのカルチャーをデザインに昇華する
彼のデザインの深みは、幼少期の異文化体験と、青春を過ごしたロンドンのストリート感覚が混ざり合うことで生まれます。
水文地質学者だった父に連れられ、アフリカやカリブ海で過ごした記憶は、彼にとってかけがえのない財産です。
エチオピアやケニア、タンザニアなどの広大な自然、そこに住む人々の鮮やかな色彩感覚は、彼の色彩設計に大きな影響を与えています。
Dunhill(ダンヒル)でのコレクションでも、英国らしい抑制の効いたデザインの中に、さりげなくそうした豊かな色彩やパターンを取り入れました。
さらに、ロンドンのカルチャーを肌で感じてきたリアルな熱量もデザインの細部に宿っています。
販売員の方がお客様に商品を説明する際も、こうしたデザイナーの個人的な背景を知っておくことで、ただのスペック説明ではない、物語(ストーリー)のある接客が可能になります。
無名時代から貫いている過去のアーカイブへの敬意と革新のバランス
彼がどのブランドに赴いても必ず行うのが、膨大なアーカイブの徹底的なリサーチです。
Dunhill(ダンヒル)においても、彼は創業者のアルフレッド・ダンヒル(Alfred Dunhill)が残した資料を隅々まで調べ上げました。
「なぜこのディテールが生まれたのか」「創業者は何を大切にしていたのか」を深く理解したうえで、それを現代の技術や素材で再解釈します。
古いものをそのまま出すのではなく、今の時代の空気感に合わせて翻訳する作業です。
この過去への敬意があるからこそ、大胆な変革を行ってもブランドの軸がぶれないのです。
販売員の皆さんも、自社のアーカイブやブランドヒストリーを学ぶことは、接客の幅を広げるうえでとても大切です。
「昔から変わらないこだわり」と「今取り入れるべき新しさ」の両面を語れるようになると、お客様からの信頼はより一層強固なものになるでしょう。
Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)時代に起こしたストリートとモードの革命

2011年にLouis Vuitton(ルイ・ヴィトン)のメンズ部門を任された彼は、ファッションの歴史を塗り替えるような挑戦を次々と行いました。
ラグジュアリーの概念そのものを拡張したその活動は、今も語り継がれています。
世界中が熱狂した「Supreme(シュプリーム)」との歴史的コラボレーション
ラグジュアリーとストリート、相容れないと思われていた二つの世界が融合した瞬間は、ファッション業界における最大の衝撃でした。
2017年に発表されたSupreme(シュプリーム)との提携は、まさに前代未聞の出来事といえるでしょう。
最高峰のメゾンであるLouis Vuitton(ルイ・ヴィトン)が、ニューヨークのスケートカルチャーを背景に持つブランドと組むことは、当時の常識では考えられなかったからです。
【正反対だった2つのブランド】
| 項目 | Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)(当時) | Supreme(シュプリーム)(当時) |
|---|---|---|
| イメージ | 伝統・格式・高級・富裕層 | ストリート・反抗的・若者・スケーター |
| 服のスタイル | スーツやドレス、高級バッグ | パーカー、Tシャツ、スケートボード |
| 提供する価値 | 普遍的で時代に流されない「格」 | 今この瞬間の「熱狂」と「限定感」 |
しかし、発表されたコレクションは瞬く間に世界中を席巻し、主要都市の店舗前には数千人の行列ができました。
この成功は、単なる話題性だけではありませんでした。
メゾンの確かな職人技とストリートの爆発的なエネルギーが、完璧なバランスで共存していたのです。
この出来事以降、メゾンとストリートの境界線は曖昧になり、現代のメンズファッションのスタンダードが確立されました。
なぜ彼はラグジュアリーブランドに「ストリート」を持ち込んだのか
彼がストリートの要素を取り入れたのは、単にそれが流行していたからではありません。
そこには、現代を生きる人々のリアルなライフスタイルを追求する、確固たる信念がありました。
キム・ジョーンズ(Kim Jones)にとって、ストリートとは日常そのものです。
人々が実際に街を歩き、活動し、自己表現をする場こそがストリートであり、そこには常に新しい感性が溢れています。
そして、現代の顧客が求めているのは、かしこまった正装ではなく、動きやすく、かつ自分のスタイルを表現できるリアルな服だと考えました。
彼はラグジュアリーな素材を使いながら、パーカーやバックパック、スニーカーを最高級のアイテムへと昇華させることで、ブランドをより身近で魅力的なものへと変えていきました。
接客においても、ブランドの格を語るだけでなく、お客様の日常にどう馴染むかというリアリティを伝えることの大切さを、彼の戦略は教えてくれます。
自分の足で世界を旅して見つけた「リアルなカルチャー」を服にする
Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)の根底にある「旅」というテーマを、彼は自分自身の足で稼いだ体験を通じて表現しました。
彼はシーズンごとに世界の様々な場所へ旅立ち、その土地の伝統工芸や文化を深く観察しました。
例えば、東南アジアの部族の装飾やマサイ族のチェック柄、ブータンの色彩など、彼が見て、触れて、感じた体験がそのままコレクションのインスピレーションとなります。
こうした徹底した現場主義が、服に圧倒的な説得力を与えるのです。
販売員の方も、日々の業務の中で「実物を見る」「お客様の生の声を聴く」という体験を大切にしてみてください。
画面ではわからない手触りやお客さまの悩みに寄り添った現場ならではのアドバイスこそが、プロとして一番の価値になります。
キム・ジョーンズ(Kim Jones)のように、常に外の世界に目を向け、本物に触れ続ける姿勢が、魅力的な提案を生む源泉となるのです。
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創業者の歴史と現代アートを融合させたDIOR(ディオール)での成功

2018年、DIOR(ディオール)のメンズ・アーティスティック・ディレクターに就任した彼は、さらにスケールの大きな戦略を展開します。
メンズウェアの収益は2018年の就任後、初の5年間(2018-2023年)で約5倍に成長し、2021年時点で12億ユーロを超えました。
業界関係者によれば、2023年までにさらに成長を続け、メゾンの伝統をアートの領域へと高め、新たなファン層を熱狂させました。
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Dior(ディオール)の歴史とその魅力
KAWS(カウズ)や空山基など異ジャンルのアーティストを巻き込む力
DIOR(ディオール)における彼の戦略の一つが、現代アーティストとの大胆な協業です。
- KAWS(カウズ):DIOR(ディオール)でのデビューショーで、巨大な花のオブジェを設置。高級で少し近寄りがたかったDIOR(ディオール)のイメージを塗り替えた。
- 空山基(そらやま はじめ):DIOR(ディオール)の伝統的な美しさに、日本のハイテク感や未来感を混ぜ合わせた。
- ダニエル・アーシャム(Daniel Arsham):ブランドの歴史そのものへのオマージュに加え、進化を続けるDIOR(ディオール)の魅力を詰め込んだ。
ファッション以外の分野で活躍するアーティストとも積極的に組むことで、ファッションショーは、アート作品を体験するような壮大なエンターテインメントへと変わったのです。
異なる分野の才能を一つにまとめる力は、彼の大きな特徴といえるでしょう。
スニーカー「Air Jordan(エア ジョーダン)」との協業が生んだ熱狂
スニーカーという現代のアイコンを用い、メゾンの職人技を証明してみせたプロジェクト。
なぜこのコラボレーションがこれほどの成功を収めたのでしょうか。
2019年12月のマイアミでのPre-Fall 2020ショーで発表され、2020年7月にリリースされた『Air Jordan 1 High OG DIOR』は、スニーカーの歴史における一つの到達点といえるでしょう。
最高級のイタリア製レザーを使用し、DIOR(ディオール)の工房で一つひとつ丁寧に作られたこの一足は、単なるスニーカーの枠を超え、まさに工芸品の域に達していました。
約500万人以上が応募したという驚異的な盛り上がりは、ジョーンズが現代のラグジュアリーにおける価値を正確に見抜いていたからこそ実現しました。
彼は、スニーカーをただの運動靴ではなく、現代の男性にとっての投資対象や収集品として位置づけたのです。
接客の最前線にいる販売員の方にとっても、お客さまが今何に価値を感じ、何にワクワクしているかを敏感にキャッチする力は、ずっと磨き続けたい大切な感覚といえます。
創業者の愛した花や犬を現代的に蘇らせるリスペクトの精神
派手な演出やコラボレーションが目を引く一方で、彼の仕事の根幹には常に創業者クリスチャン・ディオール(Christian Dior)への深い愛情があります。
クリスチャン・ディオールが愛したスズランの花や愛犬のボビーというエピソードまで、彼は創業者の人間味あふれる物語をデザインに盛り込みました。
これらは、ブローチやバッグのディテール、あるいは複雑な刺繍として現代的なアイテムの中に息づいています。
キム・ジョーンズ(Kim Jones)は単にブランドの名前を借りるのではなく、創業者のストーリーを大切にすることで、ブランドの伝統と革新を見事につなぎ合わせたのです。
FENDI(フェンディ)との兼任を可能にするマルチタスクな仕事術

2020年から始まった、DIOR(ディオール)とFENDI(フェンディ)という二つの巨大メゾンを同時に率いるという挑戦。
メンズとウィメンズ、フランスとイタリアという異なる環境をどう管理しているのか、その仕事術に迫ります。
メンズとウィメンズという2つのトップブランドを同時に率いる切り替え力
キム・ジョーンズ(Kim Jones)は異なるブランドのDNAを完璧に守りながら、同時に成果を出し続ける驚異的な集中力がありました。
彼が実践している頭の使い方は、多忙な現場で働くプロフェッショナルにとっても学びが多いものです。
フランスを拠点とするDIOR(ディオール)ではメンズを、イタリアを拠点とするFENDI(フェンディ)ではウィメンズを担当するという、物理的にも精神的にもハードな環境に彼は身を置いています。
これらを両立させているのは、圧倒的な切り替えの早さです。
【キム・ジョーンズが切り替えている「2つの異なる環境」】
| 比較項目 | DIOR(ディオール) | FENDI(フェンディ) |
|---|---|---|
| 拠点(国) | フランス(パリ) | イタリア(ローマ) |
| 担当カテゴリー | メンズ(男性向け) | ウィメンズ(女性向け) |
| 主な役割 | 創業者の物語と現代アートの融合 | フェンディ家の伝統と女性美の追求 |
| 向き合う視点 | 男性のライフスタイルや収集欲 | 女性のエレガンスや職人技の継承 |
彼はブランドごとに全く異なる顧客像を想定し、その世界観に没頭する術を心得ているのです。
複数のタスクを同時にこなさなければならない販売員の方も、彼のように「今、この瞬間のお客様に集中する」「このブランドの価値に全力を注ぐ」という切り替えを意識することで、より質の高いパフォーマンスを発揮できるようになるでしょう。
自分ですべてやらずにチーム全員の才能を引き出す謙虚さ
トップデザイナーでありながら、キム・ジョーンズ(Kim Jones)は決してワンマンなスタイルを取りません。
FENDI(フェンディ)においては、シルヴィア・フェンディやデルフィナ・デレトレズ・フェンディといった、フェンディ家の伝統を知り尽くした女性たちと密に連携を取りました。
彼は自分のアイデアを押し通すのではなく、ブランドを最もよく知る人たちの意見を尊重し、それを自分のフィルターを通して形にしていきます。
このチームワークを重視する姿勢は、店舗運営にもそのまま当てはまります。
一人の優秀な販売員だけでは、ブランドの魅力は伝えきれません。
お店のメンバー全員が同じ目標に向かい、一人ひとりの良さを活かし合える環境を作ることが、お客さまの喜びへと繋がります。
彼の謙虚な姿勢は、組織の中でキャリアを築く私たちにとって大切な教訓です。
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FENDI(フェンディ)の歴史をFFロゴから読み解く!伝統と革新のブランド哲学
独創性よりも大切なのは異なるものを繋ぎ合わせる編集者の視点
彼は自分のことをゼロから何かを生み出す天才というよりは、すでにある素晴らしいものを組み合わせる編集者に近いと感じているようです。
キム・ジョーンズ(Kim Jones)の最大の強みは、以下のような一見無関係に見える、一つの魅力的要素を物語として編み上げる力がありました
・過去のアーカイブ
・ストリートカルチャー
・現代アート
・伝統工芸
情報を整理し、優先順位をつけ、最も効果的な形で世に提示する編集力こそが、彼の成功の鍵です。
販売員の仕事も、実は編集そのものです。
ブランドが持つ膨大な商品の中から、お客様の好み、悩み、ライフスタイル、そして今のトレンドという情報を編集し、その方に最適なコーディネートとして提示します。
この編集者としての意識を持つだけで、接客は一方的な説明ではなく、お客様の人生を彩るクリエイティブな提案へと変わります。
自分のセンスを磨くだけでなく、情報を繋ぎ合わせる力を意識してみましょう。
デスクワークではなく世界中を旅してインプットし続ける徹底した現場主義

彼の独創的なアイデアは、涼しいオフィスで生まれるものではありません。
常に動き続け、自分自身の感覚をアップデートし続ける現場主義が、彼のデザインに圧倒的なリアリティを与えています。
インターネットの情報だけに頼らず自分の足で稼いだ情報をネタにする
今の時代、スマートフォンの画面一つで世界中の情報を手に入れることができます。
しかしキム・ジョーンズ(Kim Jones)は、画面越しの情報では十分ではないと考え、多忙なスケジュールの合間を縫って、今も世界各地を旅し続けています。
実際にその土地へ行き、空気の匂いを感じ、歴史的な遺物や職人の手仕事に直接触れて得た「生きた情報」だからこそ、彼の作る服には圧倒的なリアリティと説得力が宿るのです。
販売員の方にとっても、情報の質の向上は欠かせません。
例えば、
・新作の入荷前に自分で試着してみる
・他ブランドの接客を受けてみる
・休日に美しい建築や自然に触れる
こうした自分自身で得た体験は、言葉の端々に説得力を宿らせます。
「インターネットに書いてありました」と言うよりも、「私が実際に見て感じたのですが」と語る方が、お客様の心には深く響くのです。
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真似るだけで売れる!トップ販売員の接客フレーズ特集|心を動かす魔法の言葉術
日本の原宿カルチャーや古着など好きなものを徹底的に掘り下げる探求心
彼は大の親日家であり、特に日本のストリートシーンや古着に対する知識はプロ級です。
藤原ヒロシをはじめとする日本のクリエイターたちとの交流も深く、彼は裏原宿のカルチャーがどのように生まれ、発展してきたかを熟知しています。
また、ヴィンテージデニムのコレクターでもある彼は、100年以上前のジーンズの構造を解明するために、自分の所有するコレクションをチーム全員で研究することもあります。
「なぜこれはカッコいいのか?」「なぜ長持ちするのか?」という問いを、納得がいくまで掘り下げるオタク的とも言えるこの探求心が、彼のデザインの深みを作っているのです。
膨大なコレクションを収集することで養われる本物を見極める審美眼
コレクターとしての顔も持つ彼は、良質なものに囲まれて暮らすことで、自然と本物を見分ける目を養ってきました。
彼はレアなスニーカーから18世紀の稀少本まで、多岐にわたるコレクションを所有しています。
最高品質のものに日常的に触れることで、細かなディテールの違いや、作り手の意図を敏感に察知できるようになります。
この目を肥やすという習慣が、彼の卓越した審美眼を作り上げました。
メゾンの世界で働く販売員にとって、審美眼は最も大切な資質の一つです。
お値段の違いを理屈ではなく、何が素晴らしいのかを心や肌でしっかりと感じ取り、それを自分らしい言葉でお客さまに伝えられるようになることが大切です。
審美眼を磨くことは、一朝一夕にはできませんが、良いものを見続け、その本質を探ろうとする日々の意識が、あなたをプロフェッショナルな高みへと連れて行ってくれるでしょう。
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まとめ|独創性よりも大切なのは違うものを繋ぎ合わせる力

キム・ジョーンズ(Kim Jones)の歩みは、彼が単なる「流行を作る人」ではなく、異なる世界を繋ぎ合わせて「新しい価値を創造する人」であることがよくわかります。
「伝統とストリート」や「アートとファッション」を融合させる彼の戦略を学ぶことは、お客様の人生とブランドの歴史をコーディネートとして形にするという、プロの販売員に求められる提案力を磨くための大きな指針となります。
また、自身の好奇心に従い、現場で得た情報を武器にステージを切り拓く彼の姿勢は、キャリア形成の理想的なモデルといえます。
もし今、ご自身のキャリアに伸びしろを感じ、より挑戦的な環境を求めているなら、その直感を大切にしてみてください。
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