「アパレル販売員として働く上で顧客作りは重要なの?」
「どうしたらお客様が継続してお店に来てくれるのか知りたい!」
「キャリアアップにつなげる方法も教えて欲しい」
このような疑問にお答えします。
アパレル業界の競争が激化する中、販売員にとって「顧客作り」は生き残るための必須スキルとなっています。
一度の接客で終わらず、継続的に来店してもらえる関係性を築くことで、売上アップとキャリアアップの両方を実現できるでしょう。
本記事では、アパレル販売員が実践すべき顧客作りの具体的な方法について、詳しく解説します。
売上に伸び悩んでいる人や接客スキルを磨きたい人にとっても、役立つ内容になっているのでぜひご覧ください。
そもそも「顧客作り」とは? アパレルにおける意味と重要性
まずはアパレル業界において、顧客作りは意味を持つのか、なぜ顧客作りが求められるのかを解説します。
アパレル業界における顧客作りの定義
アパレル業界における「顧客作り」とは、一度きりの接客で終わらず、継続的に来店・購入してもらえる関係性を構築することを指します。
これは単に商品を販売するだけではなく、販売員個人や店舗の価値で選ばれる状態を作り出すことが重要です。
最終的なゴールは、店舗に属していても「あなたに会いに来た」と言われる存在になることです。
お客様が商品目当てではなく、その販売員との会話やアドバイスを求めて来店する関係性を築けたとき、真の顧客作りが成功したと言えるでしょう。
この関係性を構築できると、お客様は価格や利便性だけでなく、その販売員への信頼や親しみやすさを基準に商品の購入を決めてくれるようになります。
これによって単価アップや継続的な購入につながり、安定した売上基盤を作ることができるのです。
なぜ今、販売員に顧客作りが求められるのか
現在のアパレル業界では、販売員による顧客作りがこれまで以上に重要視されています。
その背景には、大きく3つの要因があります。
第一に、「実店舗への来店客数の減少」が挙げられます。
昨今の経済事情によって消費者の購買行動が変化し、実店舗で買い物をする頻度は減少しつつあります。
そのため、一人のお客様からのLTV(生涯価値)を最大化することが、店舗運営において極めて重要になっています。
第二に、「ECサイトとの競争激化」があります。
オンラインショッピングの普及により、価格や商品の種類だけでは差別化が困難になりました。
実際、ファッションアイテムをオンラインで購入した経験がある人は7割にものぼります。
(参考PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000386.000055900.html)
ただし、購入時は商品を手に取って確かめてからしたいという意見も多く、店舗に足を運んで最終的に購入するかどうかを決めることも多いです。
そこで、店頭では人の力による差別化が必要不可欠となっており、販売員の接客スキルや信頼関係の構築力が重要になっています。
第三に、「アパレル業界でのキャリアアップにも直結する」ことです。
顧客基盤を持つ人材は、企業から高く評価される傾向にあります。
本部職への昇進や他ブランドへの転職において、自分の顧客を持っているという実績は強力なアピールポイントになります。
上記のような理由でアパレル販売員には、顧客作りの能力が大切なのです。
お客様にまた来たいと思わせるための接客術とは!
顧客作りが大事だと分かったは良いものの、どうすればお客様にリピートされるようになるのでしょうか。
継続購入をしてもらうための接客術を紹介します。
初回接客で「また会いたい」と思わせる印象づくりのコツ
初回接客における第一印象は、その後の関係性構築において決定的な影響を与えます。
そのため初めてのお客様に対する接客は非常に重要です。
まず基本となるのは、【挨拶】・【笑顔】・【アイコンタクト】の3つです。
お客様が入店された瞬間から、明るい挨拶と自然な笑顔で迎えることで、安心感と親しみやすさを演出できます。
初回の接客で意識すべきは、過度なセールストークを避けて共感ベースで会話することです。
商品の特徴を一方的に説明するのではなく、「どのような場面でお使いになりますか?」「普段はどのようなテイストがお好みですか?」といった質問を通じて
お客様の話を引き出すことに集中しましょう。
また、お客様の名前や好みをメモで記録しておくアプローチも効果的です。
初めての接客の中で得た情報を次回の会話に織り込むことで、「この人は私のことを覚えてくれている」という特別感を与えることができます。
ただしメモを取る際は、お客様に不快感を与えないよう配慮を忘れないでください。
あなたに会いに来たと言われる関係性の築き方
継続的な関係性を築くためには、顧客一人ひとりに合った提案や接客が不可欠です。
過去の購入履歴や好みの傾向を把握し、その人だけに向けたパーソナライズされた提案を行うことで、特別感のある接客を実現できます。
個人個人に合った言葉かけと記憶の共有も重要な要素です。
たとえば、前回の来店時に購入したアイテムについて触れることで、継続的な関心を示すことができます。
「前回お買い上げいただいたスカート、お気に入りいただけましたか?」といった声かけをすれば、お客様との絆を深める効果があります。
さらに、適度な距離感と安心感を両立する接客マインドが求められます。
過度にプライベートに踏み込むことなく、適切な距離感を保ちながらもお客様にとって相談しやすい存在であることが理想的です。
このような絶妙なバランス感覚が、長期的な信頼関係の基盤となります。
接客のその後がリピーターを生む|次来店につなげるフォローの工夫
接客は商品をお渡しした時点で終わりではありません。
購入後のフォローこそが、リピーターを生み出す重要な要素です。
購入後のLINEやDMで自然にフォローすることで、継続的な関係性を維持できます。
また、次におすすめしたいアイテムを意識した接客設計も効果的です。
現在購入いただいたアイテムと相性の良い商品や、次のシーズンに向けた提案を見据えて接客することで、自然な再来店のきっかけを作ることができます。
誕生日や記念日に連絡する一工夫も有効でしょう。
特別な日にメッセージを送ることで、お客様にとって忘れられない存在になることができます。
ただし、プライベートな情報の管理はお店の方針に沿って行い、お客様の同意を得た上で実施するようにしましょう。
接客スキルをアップする方法
ここでは、具体的に顧客作りにつながる接客スキルを上げる方法について説明していきます。
ロールプレイングで接客を「見える化」する
接客スキルの向上には、客観的な視点で自分の接客を振り返ることが不可欠です。
同僚や先輩とロールプレイを行い、第三者からフィードバックをもらうことで、無意識のクセや良くないところに気づくことができます。
自分では意識していない話し方の癖や、改善すべき点を発見する良い機会となるでしょう。
できれば実際の接客シーンを録画し、客観的に振り返ることも非常に効果的です。
自分の声のトーンや表情、身振り手振りを客観的に確認することで、お客様にどのような印象を与えているかを把握できます。
最初は自分の映像を見ることに抵抗があるかもしれませんが、改善点が明確になるため、接客スキルを一段上に引き上げるには欠かせないやり方です。
他にも、スタッフ同士で良い接客例と悪い接客例を共有する文化をつくることで、店舗全体の接客力を底上げすることもできます。
成功事例を共有したり、失敗してしまった接客を振り返ったりすることは、チーム全体のモチベーション向上にもつながります。
販売力の高い先輩・同僚を観察・真似する
売れる販売員には必ず理由があります。
販売力の高い先輩・同僚の「話し方」「間の取り方」「声のトーン」「視線の使い方」などを徹底的に観察することで、成功のエッセンスを学ぶことが可能です。
自分の接客と何が違うのかを比較し、部分的に真似してみることから始めましょう。
すべてを一度に変えるのではなく、一つずつ取り入れることで、自然に身につけることができます。
さらに効果的なのは、「なぜこのタイミングでこの声かけをしたのか」など、その時に考えていたことを言語化してもらうことです。
表面的な技術だけでなく、その背景にある考え方を理解することで、より深いレベルでのスキル習得が可能になります。
接客日報・振り返りメモで改善点を可視化する
継続的な成長のためには、日々の接客を振り返る習慣も重要です。
接客後に「お客様の反応」「うまくいったこと」「改善点」を簡潔にメモすることで、自分の成長を記録に残すことができます。
少なくとも週に一度でも振り返ることで、自分なりの成功パターンやミスの傾向を明確にすることができるでしょう。
その結果、同じような失敗を繰り返すことがなくなり、効率的にスキルアップを図ることが可能です。
また、日々の接客を記録し続けることで、接客が感覚から再現性あるスキルへと変化します。
経験に基づいた確実な技術として身につけることで、どのようなお客様に対しても一定レベル以上の接客を提供できるようになるでしょう。
LINEを使った顧客フォロー術【テンプレあり】
購入後のフォローの一例として、LINEを使ったお客様のフォローのやり方を紹介します。
LINE公式アカウントと会社個人アカウントの使い分け
現代の顧客フォローにおいて、LINEは非常に有効なツールです。
店舗LINE公式アカウントと会社個人アカウントを適切に使い分けることで、効果的な顧客管理が可能になります。
店舗LINE公式アカウントは、一斉配信やイベント・セール案内などの情報発信に適しています。
新作入荷情報やセール開催の告知など、多くのお客様に同時に伝えたい情報の配信に活用しましょう。
一方、個人LINE(お客様の許可を得た場合)は、顧客ごとのパーソナル対応に最適です。
個別の相談対応や、その人だけに向けた商品提案など、よりきめ細かなフォローができます。
理想的なのは、顧客の好みに合わせて情報の出し分けができることです。
セール情報を好む方には公式アカウントでの情報を
個別対応を求める方には個人アカウントでのフォローを提供することで、満足度の高いサービスを実現できます。
送るタイミングと頻度
LINEでのフォローにおいて、タイミングと頻度は成功の鍵を握ります。
購入翌日から3日以内に「その後いかがですか?」のフォローを入れることで、購入体験の満足度を高めることが可能です。
定期的な連絡のタイミングとしては、新商品が入荷した際、お客様の誕生日や記念日、シーズン切り替えの時期が良いでしょう。
このようなタイミングは自然に連絡をとる理由が作れるので、お客様に不快感を与えることなくコミュニケーションを取ることができます。
頻度については、月1~2回が目安となります。
これより多いとしつこさを感じさせる可能性があり、少なすぎると関係性が薄れてしまいます。
お客様の反応を見ながら、適切な頻度を見つけることが重要です。
売り込み感ゼロのメッセージテンプレート例
効果的なフォローメッセージは、売り込み感の無い自然な内容にすることが重要です。
以下で具体的なメッセージの例を記載しますので、自分なりにアレンジをして使ってみてください。
例1(購入後フォロー)
「 ○○さま、こんにちは! この前ご購入いただいたワンピース、その後いかがですか? 似た雰囲気の新作が入ってきましたので、よかったらぜひ見に来てくださいね。」
例2(誕生日メッセージ)
「 ○○さま、お誕生日おめでとうございます! 今年も素敵な1年になりますように。
お誕生日のお祝いにバースデーギフトをご用意しております。 誕生月の翌月までお受け取り可能ですので、お時間のある時にぜひお立ち寄りください。」
例3(季節の変わり目)
「○○さま、だんだん暖かくなってきましたね! 春物のお洋服をお探しの際は、店舗へぜひお立ち寄りいただきお声がけください。
○○さんにお似合いになりそうなアイテムをご提案させていただきます。」
例4(新作入荷のお知らせ)
「○○さま、こんにちは! 以前「こんなデザインがあったらいいな」とおっしゃっていたジャケットのイメージに近い商品が入荷しました。
今度お時間がある時に、ぜひ店舗にお越しいただき実際にご覧になってみてください。」
例5(コーディネート提案)
「○○さま、こんにちは! 先日お買い上げいただいたスカートと相性抜群のトップスを見つけました。
○○さまのお好みにぴったりだと思うので、よろしければご都合の良い時にお立ち寄りいただき、ご試着ください。」
このようなメッセージは商品の押し売りではなく、お客様への気遣いを中心とした内容になっています。
お客様に喜んでもらえるような姿勢でコミュニケーションを続けることで、信頼関係を深めることができるでしょう。
顧客作りがキャリアアップにどうつながる?
顧客作りで培ったスキルは、店頭での売上向上だけでなく、アパレル業界でのキャリア形成においても強力な武器となります。
ここでは、顧客作りのスキルがどのようにキャリアアップに活かされるのか、具体的に解説していきます。
販売員のスキルが評価される本部職・転職先
顧客作りのスキルは販売現場での成果だけでなく、キャリアアップにも大きく貢献します。
販売実績に加えて顧客管理スキルがあれば、店舗運営・教育・販促などの本部職にステップアップしやすくなるでしょう。
「自分のお客様を持っている」ことは、自分自身のアピール材料として転職活動においても明確な強みになります。
実際、リピーターを持つ販売員は新しい職場でも即戦力として期待され、採用されやすい傾向にあります。
転職市場でも、実績のある販売員はブランド側から積極的に採用される傾向があります。
特に、似たブランドや同じような商材を扱う企業で顧客作りの実績がある人材は、そのノウハウを自社でも活用してもらえると期待され、好条件での転職ができるかもしれません。
顧客を持っている人材が重宝される3つの理由
企業が顧客を持つ人材を重宝する理由は明確です。
1つ目は、【企業にとって売上を持ち運べる人材として認識されること】です。
その人が転職すれば、一定の売上も一緒に確保できる可能性があるため、非常に価値の高い人材と見なされます。
2つ目は、【既存顧客へのアプローチとして、販促コストを削減できる大きなメリットがあること】です。
新規顧客獲得にはより多くのコストがかかりますが、既存の顧客関係を活用することができれば、効率的な売上向上が期待できます。
「あなたの接客が好き」というファンがいることは、企業にとっても資産と考えられるのです。
3つ目の理由として、【このように熱心な顧客は時折ブランドアンバサダーのような存在になる】こともあります。
SNSや口コミなど、マーケティングを一旦を担ってくれる可能性があり、さらなる顧客の獲得や長期的なビジネスの成長に貢献してくれるでしょう。
よくある悩みとその解決策【Q&A形式】
ここでは、実際に顧客作りでありがちな悩みとその解決方法を紹介します。
Q. 顧客と距離感がうまくつかめないのですがどうすれば良いですか?
この悩みを解決するためには、「話しすぎず、聞きすぎず」の適度なバランスを心がけることが重要です。
「○○さんに似合いそうですね」といった一言で関係が深まることも多いため、簡潔で的確なコメントを意識しましょう。
初対面では商品説明よりも「お客様の話を引き出すこと」に集中することが効果的です。
お客様の好みやライフスタイルを理解することで、適切な距離感を見つけることができます。
初めから無理に親しくなろうとせず、自然な会話の流れの中で徐々に関係性を築いていくことが大切です。
焦らずに時間をかけて信頼関係を構築していくことで、適切な距離感を保つことができるようになるでしょう。
Q. 購入後のメッセージやフォローが苦手です
購入後のフォローに苦手意識がある場合は
最初は「新商品を入荷しました!」「おすすめコーデ」などの定型のメッセージなどから始めることや
自身の翌月シフトを共有するなどをおすすめします。
単に商品情報の発信であれば、プレッシャーを感じることなく継続できます。
慣れてきたら、人柄や考え方が伝わるようなメッセージも取り入れてみましょう。
販売員としての想いやファッションに対する考え方を伝えることで、ファンづくりにつながります。
完璧を求めすぎず、等身大の自分を表現することが重要です。
お客様を気遣った内容や有益な情報を提供することで、自然とやりとりがしやすくなるでしょう。
LINEを送ると「うざい」と思われそうで怖い
この不安を解消するためには、「売るより気遣う」を基本姿勢とすることが重要です。
商品の押し売りではなく、お客様への関心や気遣いを示すメッセージであれば、不快に思われる可能性は低くなります。
1通目は商品購入のお礼と商品の状態を伺うことに留め、お客様の反応を見ながら次の連絡タイミングを調整しましょう。
返信の有無や内容から、お客様の関心度合いを判断することができます。
強引な販売メッセージは避けて、お客様にとって価値のある情報提供を心がけることで、歓迎されるコミュニケーションを実現できます。
相手の立場に立って考えることが、効果的なフォローの基本です。
今日からできる!顧客作りのアクションチェックリスト
実際に顧客作りに関して、以下のチェックリストを活用して日々の取り組みを体系的に進めましょう。
- □ お客様の名前・好み・会話内容をメモしている
- □ 接客後に良かった点・改善点を振り返り、記録している
- □ 購入後にLINEまたはDMなどでフォローしている
- □ 自分が「なぜこの人に接客されたいのか」を考えて実践している
- □ 顧客との関係を、初回接客→信頼構築→再来店へと導けている
これらの項目を定期的にチェックすることで、顧客作りの取り組み状況を客観的に把握できます。
できていない項目があれば、それについて優先的に改善に取り組みましょう。
各項目は相互に関連しているので、一つずつ着実に実践することで、総合的な顧客作りのスキルを向上していくことができます。
少しずつでも継続的に取り組んでいくことが、あなたの接客スキルとキャリアアップにつながるでしょう。
まとめ|あなた自身にファンがつく販売員へ
顧客作りとは、商品ではなくあなた自身に価値を感じてもらう接客活動の積み重ねです。
名前や好みを覚える、お客様に合った接客をする、丁寧なフォローをするなどで関係性を深めるといった日々の行動が
あなたの魅力をお客様に届ける重要な手段となります。
接客スキルの向上や顧客管理の工夫など、少しずつ行動を変えることで確実に結果がついてきますので
完璧を目指すのではなく、できることから一つずつ実践して成功を目指しましょう。
また、顧客作りのスキルは、店頭での成果だけでなく、本部職・他ブランドへの転職・独立などキャリアの広がりにも直結する重要な資産です。
長期的な視点で取り組むことで、アパレル業界でのキャリア形成において強力な武器となります。
キャリアアップを踏まえて転職を検討している方は、転職エージェントに相談してみるのも一つの方法です。
アプライムはアパレル業界に精通した専任のアドバイザーが、親切・熱心に対応いたします。
あなたの顧客作りのスキルを活かせる新しいステージを見つけるお手伝いをさせていただきますので、お気軽にご相談ください。